「万学の祖」「知者たちのマエストロ」と言われたアリストテレスの第一哲学とは

Aristotelēs古代
Father of ten thousand study and Maestro of people of intellect Aristotels

アリストテレス プロフィール

紀元前384~紀元前322 ギリシャの哲学者
17歳の時プラトンの「アカデメイア」に入学してプラトンの弟子となる。
プラトン死後アカデメイアを去り、マケドニア王子の家庭教師となる。
紀元前335(アリストテレス49歳) 自身の学園「リュウケイオンを開設する。
主な著作物は
「オルガノン」「動物誌」「自然学」「形而上学」「二コマコス倫理学」「政治学」「詩学」など。
学問の基本的な区分、名称はアリストテレスの著作物の名前からきている

アリストテレス形而上学

Metaphysics Aristotels

アリストテレス形而上学は全14巻からなる論文。以下は第八巻までの内容目次

・目次
『第一巻』
(第一章)
「すべて人間は知るを欲する」哲学とは棟梁的な学問である。
(第二章)
知者とは
(第三章)
実体とは何か。四原因説。
(第四章)
エンペドクレスの始動因が未熟だった。
(第五章)
ピタゴラス学徒とエレア学徒の原因に関する見解
(第六章)
プラトン哲学の起源
(第七章)
これまでの哲学者の四原因の見解。
(第八章)
ソクラテス以前の哲学者の原因に対する反論
(第九章)
プラトンのイデア説に対する反論
(第十章)
これまでのまとめ

『第二巻』
(第一章)
・知者の特徴。
・原因の種類は四種類
・研究方法についての心得

『第三巻』
・研究にあたっての難問の所在と意義。

『第四巻』
・第一哲学とは存在を存在として研究して第一の諸原理を求める。、

『第五巻』
・哲学用語解説

『第六巻』
・存在とは

『第七巻』
・実体とは

『第八巻』
・ここまでのまとめ

『第一巻』第一章

「すべて人間は知るを欲する」哲学とは棟梁的な学問である。

・人間の知能は見る事に始まり、記憶力、経験知、技術知と進んで行き、さらに理論的な学問的認識に至る。
大工の棟梁の話を例にあげ、棟梁は運搬夫や大工や石工などの職人らの上位にあたり、
建築物の部分的な事しか理解していない彼らを指導して建物を設計、建設することができる棟梁(親方)を尊重した。
このような棟梁が現場の職人より原因や目的や原理を理解していることが重要で人が物事を知っているかいないかは

それを人に教えられるかが一つの証拠になり技術の方が経験よりも多くの学問であるとした。
なぜなら、経験家は教えられないが技術家は教えられるからである。
(アリストテレスはこれを「棟梁の術又は学」と呼んだ)

第二章

  • 知者とは
  • ①「物事を認識している者」
  • ②「普通の人間には分かりえないような、困難んなことを知る能力のある人」
  • ③「正確であること」
  • ④「より多くの物事の原因を教えうる者」
  • ⑤「その学問そのものが望まし、それを知ることがそれ故に望ましい学問の方が、効果をもたらす望ましい学問(技術)より、いっそう多くの知恵である」
  • ⑥「いっそ王者的な学問の方が、これに隷する諸学より多く知恵である」
  • これらを踏まえ第一の原理や原因を研究する学問を「第一の哲学」と呼び、この原因は【神】のみが所有する。

第三章

実体とは何か。四原因説。

第一哲学の主な関心は「実体」である。さて「実体」とは何か?
実体を具体的に追求すると

・対立概念
【質量⇔形相】【可能態⇔現実態】の二つの対立概念があり、さらに四種の原因があるという。

①質量因
②形相因
③動力因
④目的因

以上の四つの原因があり、具体的にはテーブルを例にすると

例)「テーブル」から【質量⇔形相】の対立概念

・質量(木製のテーブル)
・形相(テーブルの形をしている)

例)「タンポポ」から【可能態⇔現実態】の対立概念

この場合種が「質量」で黄色い花が「形相」で

・可能態→種は芽を出しその後花開く

・現実態→開花した花

となり四原因を具体的に解説すると

例)タンポポからの四原因

①質量因→タンポポの種
②形相因→種からタンポポの花になるという展開
③動力因→花になるまでの過程の動き
④目的因→開花したタンポポの状態

ここまでのまとめ

「第一哲学」

 存在とは何か、存在とは何に属するものかという点を考える事が第一哲学のテーマである。

by楽二郎

参考文献

・アリストテレス形而上学 (上) 出 隆訳 岩波文庫
・一冊で哲学の名著を読む 著荒木 清 中経出版

・哲学の歴史 1 哲学誕生 中央公論社

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