罪と罰 下 新潮文庫 工藤精一郎訳 ドストエフスキー

Dostoevskyドストエフスキー
Dostoevsky 1821-1881 novelist Russia

ストーリー 下巻

Crime and punishment Dostoevsky

登場人物

スヴィドリガイロフと名乗った男(ドゥーニャを家庭教師として雇っていた家主)は

ルージンドゥーニャの結婚を辞めさせようとラスコーリニコフに話を持ち掛ける。
スヴィドリガイロフが帰ると、ラズミーヒンラスコーリニコフはバカレーエフのアパートへ急いだ。
ルージン、ラズミーヒン、ラスコーリニコフ、母(ドゥーニャの母)、妹(ドゥーニャ)

円テーブルの席に着くと短い沈黙のあと話し合いが始まった。
ルージンからスヴィドリガイロフが妻の葬儀のあと急いでペテルブルグに向かったことを知り、

母(ドゥーニャの母)と妹(ドゥーニャ)は不安を募らせる。
更にラスコーリニコフからマルファ・ペトローヴナ(スヴィドリガイロフの妻)が3000ルーブルの遺産を残した遺言状の話やスヴィドリガイロフドゥーニャに会いたがっているという話を聞く。
その後ルージンは用事があると先に席を立とうとするが、

それを引き止めて話を続けようとする母(ドゥーニャの母)と妹(ドゥーニャ)
しかし互いに己の考えを主張していくが、交渉は決裂ルージンは部屋を出ていく。
ルージンの最大の誤算はこのような結末になろうとは全然予想していなかった。

それはルージンの虚栄心と自惚れが起こした結果だった。
こうしてルージンドゥーニャの結婚は破談となった。
するとラズミーヒンは今後の事について自分の計画を話し始める。
それは、自分の祖父から資金を借りて、

母(ドゥーニャの母)と妹(ドゥーニャ)と共同経営で出版業でヨーロッパの本の翻訳、出版で開業するというプランだった。
その話を聞いて母(ドゥーニャの母)と妹(ドゥーニャ)は喜んだ。
しかし、ラスコーリニコフは突然母(ドゥーニャの母)と妹(ドゥーニャ)に別れを告げる。

部屋を出ると更にラズミーヒンにも、もう会いに来るなと別れを告げる。
ラズミーヒンはお互いにしばらく見つめあっていたが、

その彼の視線からやがて恐ろしい考えが浮かんできた。

そうしてラスコーリニコフの気持ちのすべてを悟ったのであった。
ラズミーヒン母(ドゥーニャの母)と妹(ドゥーニャ)の部屋に戻ると

彼を刺激しないようにと二人を慰めた。
ラスコーリニコフラズミーヒンと別れるとすぐソーニャが住んでいるアパートへ向かう。
ソーニャの自己犠牲の生き方を知り、ラスコーリニコフは彼女には3つの道があると考えた。
「河に身を投げる」か
「精神病院に入る」か
「淫蕩な生活に落ち込む」かだと。
ラスコーリニコフはタンスの上にあった聖書を見つけると

ソーニャに「ラザロの復活」の箇所を読んでくれと頼む。
読み終わると「これからはぼくと二人だけで一緒に行こう。ぼくらは二人とも呪われた人間だ。一緒に行こうよ」
と言い放ち、更にだれがリザべータを殺したのか教えると告げ、部屋を出て行ってしまう。
しかし、この話を盗み聞きしていた男がいた。
スヴィドリガイロフが息を殺してそれらの話を聞いていたのだった。
翌朝10時にラスコーリニコフは警察に出頭してポルフィ―リィに取次を頼む。
あまりにも待たされるがやっとポルフィ―リの部屋に呼ばれて、再度対決が始まる。
落ち着き払った態度にラスコーリニコフは興奮、激怒していく。
しかし、事件当日にその場所にいたというペンキ屋の男が自分がやったと自白する。
ポルフィ―リラスコーリニコフの両方にとって思いがけない展開に驚きながら

ラスコーリニコフは解放される。
ルージンは部屋に戻ると破談になったドゥーニャとの結婚を悔やんだ。
もしかしたらまた結婚を進める手立てがないかと考えをめぐらせた。
法事を控えた中、同居人のレべジャートニコフに頼んでソーニャを部屋へ呼び出してらう。(それはある魂胆があったからだった)
そしてカテリーナ・イワーノヴナを援助したいと申し出る。

しかしその事は彼女には内緒にして欲しいと告げ、十ルーブリの紙幣を渡す。
法事の会食が始まったが部屋の大家とカテリーナ・イワーノヴナとの喧嘩が始まってしまう。

しかしそこへルージンが現れる。
それはソーニャに話しがあると言い、皆がいる前でソーニャが訪ねてきたあと百ルーブリ紙幣が一枚無くなったと言い放ち、ソーニャに盗みの容疑者だと問い詰める。
ソーニャは否定したがカテリーナ・イワーノヴナが彼女の身体検査をするとポケットから百ルーブリ紙幣が一枚出てきてしまう。
そんなやり取りをがあったが戸口からレべジャートニコフが叫んだ

「なんという卑劣なこどだ!」更に、
「その百ルーブリ紙幣一枚を自分の手でソーニャに渡したのを私は見た」
「犯人はこの男(ルージン)だと」
とその場に居合わせた一人一人に宣誓した。
更にラスコーリニコフもこのルージンのこれまでの経過を詳細に説明して彼の意図を暴き出してみせた。(ドゥーニャとの結婚を復活させる事、ラスコーリニコフに復讐する事)
こうしてこの事件はルージンの狂言だったとわかったがソーニャはその場を飛び出してしまう。
その後、ソーニャの部屋をラスコーリニコフが訪ねる。

前回訪ねた時に言っていた「だれがリザべータを殺したのか教える」という話しを持ち出し
とうとう二人を殺してしまった事を告白する。

するとそこへレべジャートニコフが訪ねてきてカテリーナ・イワーノヴナが発狂して騒ぎを起こしていると報告しに来た。
その話を聞いてソーニャが部屋を飛び出続すと、続いてラスコーリニコフレべジャートニコフも出ていくがラスコーリニコフは部屋へ戻る。
部屋でソーニャへの気持ちを考えているとドゥーニャが部屋を訪ねてきた。

ドゥーニャは兄が苦しんでいる理由をラズミーヒンから聞いて一言言いたくて駆けつけてきたのだった。
帰り際ラスコーリニコフドゥーニャへラズミーヒンは

心のやさしい、強く愛することのできる男なんだ」と言いドゥーニャは赤くなる。
その後レべジャートニコフが駆けつけてきてカテリーナ・イワーノヴナ一が子供たちを連れ、物乞いして町を練り歩いていると知らせる。
ラスコーリニコフが駆けつけてカテリーナ・イワーノヴナにそんな行為はやめるように説得するが彼女は突然血を吐いて倒れてしまう。
ソーニャの部屋へ運びこまれたカテリーナ・イワーノヴナはやがて死んでしまう。
するとスヴィドリガイロフがやってきて提言があるとラスコーリニコフに話かける。
それはカテリーナ・イワーノヴナの葬儀と残された子供たちの養育費を私が負担すると言ってきた。
驚いたラスコーリニコフはどうしてそんな事をするのかと問いただすとラスコーリニコフソーニャに事件の真相を告白した話しを隣の部屋で聞いていたと告げる。
スヴィドリガイロフの指図でカテリーナ・イワーノヴナの葬儀が行われる日、

部屋で食事をしているとラズミーヒンが入ってくる。
ラスコーリニコフの様子を伺いに来たが、ポルフィ―リから事件の犯人はペンキ屋のミコライだと聞いたと告げる。
ポルフィ―リスヴィドリガイロフとは決着をつけなければならないと考えていると思いもよらずポルフィ―リが部屋を訪ねてくる。
事件の犯人はラスコーリニコフだと言い放ち、自主することをするめられる。
ラスコーリニコフポルフィ―リの前にスヴィドリガイロフと決着をつけなければならないと考え、彼を訪ねようと出かける。
すると偶然にも居酒屋にいたスヴィドリガイロフを見つけ店に入る。

彼と話を始めるとラスコーリニコフは妹のドゥーニャに対してまだ何か魂胆があると感じていた。
その後スヴィドリガイロフは兄の犯罪をネタにドゥーニャに結婚をせまる。

ドゥーニャは帰ろうするがスヴィドリガイロフは部屋に鍵をかけ帰そうしない。
するとドゥーニャは隠し持っていた拳銃を取り出しスヴィドリガイロフに向けると

引き金を引いてしまう。

すると、間一髪彼の頭を銃弾がかすめてしまう。
ドゥーニャの頑固な拒絶にスヴィドリガイロフは観念して部屋の鍵を渡し

ドゥーニャを解放して帰してしまう。
スヴィドリガイロフはその後、ソーニャの部屋を訪れこの先必要になるからと三千ルーブリの債権を渡し自分はアメリカに行くと告げる。
又同じ日の夜十一時を過ぎた頃、許嫁の家にも訪れて一万五千ルーブリを贈り届ける。
その後スヴィドリガイロフ拳銃を自分の頭に向けて打ち、自殺してしまう。
その事件と同じ日にラスコーリニコフは母の部屋を訪ねる。

ドゥーニャや女中は留守だった。
母に別れを告げるラスコーリニコフ

母は息子に何が重大な事が起こったのを悟る。
その後部屋で待っていたドゥーニャにも別れを告げる。
更にソーニャの部屋を訪ね十字架をもらいに来ただけだと言い、

別れを告げずに部屋を出て警察署に向かう。
副警察署長のイリヤ・ペトローヴィチからスヴィドリガイロフが自殺した事を聞き、驚いて一旦警察署を出てくるが外にソーニャが待っていた。
ソーニャの表情を見て再度警察署に戻るラスコーリニコフ

そしてイリヤ・ペトローヴィチに老婆殺害事件は自分の仕業だと話し自主する。
ラスコーリニコフは第二級の強制労働、八年の刑期でシベリアの監獄に収容された。

その後ラズミーヒンドゥーニャは結婚。
母のプリへ―リヤ・アレクサンドロブナは息子の裁判の最初の頃から体調を崩し、熱病で亡くなってしまう。
ラスコーリニコフソーニャからペテルブルグのラズミーヒンへの手紙のやり取りをしてお互いの様子を報告しあっていた。
収監後ラスコーリニコフは体調を崩して監獄内の病院に収容される。
彼が体調を崩したのは自尊心が傷つけられた事、更にあの時河の上に立ちながらなぜ自殺をしなかったのかという悔いも原因だった。
その後体調を戻し病院を退院して監獄に戻る。

ラスコーリニコフソーニャを愛してる事を悟り、ソーニャラスコーリニコフに愛されている事を悟る。
彼らにはまだ7年の歳月が残されていたが、お互いに幸福のはじまりを感じていた。
それは一つの世界から他の世界への新しい現実を知るものがたりのはじまりだった。

まとめ

貧乏青年ラスコーリニコフは計画どおり老婆アリョーナを殺してしまうが、その結果ラスコーリニコフの論文を読んでいた予審判事のポルフィ―リとの対決が始まる。
論文は殺人の肯定で老婆殺しはあなたがやったのではないかと指摘されてしまうが

都合三度対決があり、この物語のハイライトだ。
又、娘の婚約者ルージンとの対決や妹の家庭教師の家主のスヴィドリガイロフとの対決もあり様々な人間模様が同時進行して読者を飽きさせません。
by楽二郎

コメント

タイトルとURLをコピーしました