知らないのに知ったかぶりをして自惚れることほど恥ずかしく醜いのだ

platon古代

プラトン プロフィール

紀元前427年~前347年
古代ギリシャの哲学者
父アリストン
母ペリクティオネ
両親は古い名族の出身
兄アデイマントス
 グラウコン
母親の再婚相手プコリンランぺスとの間に異父弟
アンティフォン
プラトンはソクラテスの弟子。
・紀元前415年(ソクラテス54歳、プラトン12歳)この頃ソクラテスがプラトンと出会ったとされる。

・紀元前399年(ソクラテス70歳、プラトン28歳)メレトスという詩人に不敬進の罪で告発され、裁判で死刑判決が下される。一ヵ月後死刑が実行された。
 ソクラテスの死後プラトンはアテナイを離れ、各地を訪問して初期の作品を書き上げる。

・紀元前386年(プラトン40歳)アテナイ郊外に哲学の研究教育の学園を開設する。→「アカデメイア」世界最初の学園
 学園では数学研究を重要視、優れた政治指導者の養成に励み、その後約900年続くが異教的活動の禁止令にともない閉鎖させられてしまう。
・著作「ソクラテスの弁明」「クリトン」「パイドン」「饗宴」「国家」「パイドロス」「パルメニデス」「テアイテトス」などの多くの作品を残す。
 ソクラテスの仲間たちは「ソクラテスの弁明」等のソクラテス対話篇を競って残し、計200~300冊による作品があり「ソクラテス文学」と呼ばれた。
・紀元前367年(プラトン60歳)アリストテレスが17歳でアカデメイアに入学してプラトンの弟子となる。
・紀元前347年(プラトン80歳)プラトン死亡。アカデメイアは甥のスペウシッポスに引き継がれる。

「ソクラテスの弁明」のあらすじ

The academe world’s first school Platon

・ソクラテスが主人公の対話篇で次のような構成になっている。
◆始めに◆
・ソクラテスは始めに弁明する対象を「古くからの告発人たち」と「その後の新しい告発人たち」の二つに分けた。
先に「古くからの告発人たち」に弁明する事が重要だとした。
◆第一章◆
①弁明その一(古くからの告発人たちへの弁明)
・ソクラテスの告発の背景には当時のソフィスト達への偏見や嫌悪があり、

ソクラテスは自分自身はソフィストのような不敬神的考え方、世界のあり方を科学的、合理的に説明する自然学者ではないしそのような知識は持っていないと弁明する。
又、ソフィスト達が教えていた「弁論術」(弱論で強弁を打ち負かす)はごまかしの議論として批判されていたがソクラテスはソフィスト達のように金銭をもらい彼らを教育したことはないと弁明する。
ではなぜソクラテス自身はソフィストのような知識人ではないと考えたのかは

「無知の知」と言われるアポロン神託(ソクラテスより知恵のある者はいない)を受けて自身は知らない事を知っていると考えいわゆる「ソフィスト」達のような知識人ではないと訴えた。

②弁明その二(その後の新しい告発人たちの弁明)
・ソクラテス告訴内容が「アテネ社会で信じられている神々を信ぜす、別の新たなダイモーンを導入しようとしている。又、若者を堕落させている」とされ、ソクラテスは告発人のメレトスとの一問一答形式の議論で
「問答法」(エレンコスと言われる対話術)を用いてメレトスの告発の矛盾点を明らかにする。しかしこのやり取りがソフィスト達が用いる「弁論術」だとの印象を与えてしまう。

③弁明その三(弁明の後半)
・弁明後半部は弁明を行う自分自身の生き方を語る。
その一
知らないのに知ったかぶりをして自惚れることほど恥ずかしく、醜いことはない。
その二
判決(死刑)を恐れずに知を愛することを続ける事が真の生き方である。
その三
哲学とは魂(精神、気力、活力)に注意を払いなさい。
その四
善人が裁判で死刑判決を受けても「魂」のあり方が悪くなることはない。
その五
自分自身がなぜ「政治」に関わらなかったのかを弁明する。

④弁明その四(弁明のまとめ)

◆第二章◆
裁判の票決
・裁判員が投票を行い有罪票多数の結果(死刑)を受け二度目の票決のために被告人(ソクラテス)が対案の「罰金」刑を示す。

◆第三章◆
判決後の言葉
・二度目の票決で「死刑」が確定する。
最後に死刑投票者と無罪投票者の両方に向けて言葉を残す。

用語解説

・ソフィスト→古代の近代人、知恵を備えた者
・ダイモーン→神霊、神霊的な
・エレンコス→ソクラテスの対話術、問答法

まとめ

ソクラテスの裁判を通して「善く生きる」とはどうすればいいのかを教えてもらいました。

その教えが弟子のプラトンやその後のアリストテレスへと多くの弟子達へと続いていったんですね。

by楽二郎

参考文献

・はじめての哲学 賢者たちは何を考えたのか? 楽しい調べ学習シリーズ 竹田青磁 PHP研究所 
・書名 :現代思想としてのギリシア哲学  (講談社選書メチエ 127)

 著者 :古東 哲明 出版者:講談社
・哲学の歴史 1 哲学誕生 中央公論社 
・ソクラテスの弁明 プラトン 納富信留・訳 光文社

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